2023年冬期、TVアニメ「久保さんは僕(モブ)を許さない」。
モブ男子白石くんとヒロイン女子久保さんの、恋愛2歩手前の感情によって繰り出される甘いストーリーで、視聴者の心を暖かくしている。
そんな「久保さんは僕(モブ)を許さない」のEDテーマ「かすかでたしか」を聴いて、感動を覚えた方も多いのでは無いだろうか。
本記事では「かすかでたしか」が、なぜ良いのかを解読する。
歌詞
まだ自分の恋に気づいてない人の、好きな相手に対する気持ちが溢れている。
相手との1つ1つのものごとを、本当に大切にしていることが伝わってくる。
もはや深い愛情が伺える、一方で、まだ少し距離があることや自分の気持ちを誤魔化していることを感じさせる言葉使いで書かれてる。
久保さんの白石くんとの距離感・関係性が絶妙に表現されている。
曲調とも相まって、何度聴いても、不思議と胸が詰まってしまう。
歌詞を認識すればするほど、2人のことを思い、もどかしさから、胸がぎゅっとなる。
曲調
冒頭、Aメロあたりは、どことなく失恋ソングの冒頭を思わせなくもない、ゆったりとした日常を表現した落ち着きのある安定したメロディーが流れる。
Bメロから、曲調が2度3度と転換する。
これが、徐々に感情が高ぶっていっていることを感じさせる。
ここからだんだんと卒業式ソングのような雰囲気に変わっていく。
Bメロの終盤からサビにかけて、4分4拍子だったメロディーが、8分の6拍子のメロディーに変わる。
メロディーだけでなくテンポにも変化を加え、畳み掛けるように、曲の盛り上がりを見せるサビに入る。
Aメロの落ち着いた流れと裏腹に、サビは8分の6拍子のリズムで、執拗に感情に揺さぶりをかけていく。
このサビの揺さぶりのテンポで、メロディーだけでもかなりぐっとくる素晴らしい曲になっている。
DIALOGUE+
DIALOGUE+(ダイヤローグ)は、女性声優8人による声優アーティストユニットである。
2019年に結成されてから、「弱キャラ友崎くん」のOPテーマ「人生イージー?」や「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」のOPテーマ「おもいでしりとり」など8作品のアニメのテーマ曲を歌っている。
メンバーは、この8人となっている。
- 内山悠里菜
- 稗田寧々
- 守屋亨香
- 緒方佑奈
- 鷹村彩花
- 宮原颯希
- 飯塚麻結
- 村上まなつ
これまでの曲は、声優だけあって声は非常に魅力的だ。
けど、なんだかバラバラに聴こえる。
そのせいでなんだかちょっと騒がしく聴こえてしまう?という印象が強かった。
しかし、本作の「かすかでたしか」では、完成度の高さを見せつけられた。
それぞれの声の個性が損なわれずに、かつ、きれいに調和していると感じた。
8人で歌っているためか、普段聴く曲よりも「合唱曲」っぽく聴こえるというところも、より感情を揺さぶる要因になっているように感じる。
DIALOGUE+が「かすかでたしか」を歌っているということが、私たちの感情を揺さぶる理由の1つであることは間違いない。
ED映像
この水彩の淡い絵もまた感情表現として際立っている。
「恋の2歩手前の思い(想い)」を表現していると解釈している。
まず、恋の2歩手前というのは、まだ恋では無い。
つまり、気持ちがはっきりしていない状態ということになる。
しかし、久保さんを見た人は分かると思うが、好きという感情は確かにそこにある。
ピンクや明るい紫を基調とした、ほわほわで淡いパステル調の水彩で、「恋には至っていないが、好きだと思う気持ちがある」が表現されている。
魅せるED
以上より、「歌詞」「曲調」「歌手」「ED映像」の観点で良い理由を説明した。
「久保さんは僕(モブ)を許さない」自体は感動するストーリーではないが、恋愛と呼ぶにはまだ早い「2歩手前」という2人の関係に甘い青春を感じ、何か胸が詰まってしまう。
一言で言うと、「かすかでたしか」にもそれが詰まっている。
それが感動を覚える理由だと私は思う。
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余談だが
2023年2月末現在、原作は、最終回を迎えている。
TVアニメの視聴者は、久保さんと白石くんの関係について「まさか、この2人はずっとこのまま自分たちの気持ちに気づかずに過ごし続けるの???」と、強いもどかしさを感じていたのではないだろうか。
この2人の関係がどのように着地するのか、原作の漫画も読まないといけない。